鬼丸凜太の随想&創作&詩&日記

サウダーデを心に沈めた漫ろ筆。日曜詩人の創作、詩、呟き。

「慕雨(ぼう」〔Ⅱ〕(短歌)

・田蛙(たかはづ)の鳴きとほす夜の(しづ)けさに

    誰(たれ)の今際(いまは)を刻みてゐるや

・蝸牛(ででむし)をのせ草の葉の暮れ残る

     ででの微睡(まどろみ)風に揺れつつ

・里の灯を映す植田の傍らの

    ポストに落とす文(ふみ)のときめき

「畝雨(ほう)」〔Ⅶ〕(俳句)

季節は入り混じっております。

  産土(うぶすな)の阿吽(あうん)も光る風のなか

  街騒(まちざゐ)を朧ろにくるみ暮れなづむ

  夕焼けて三角ベース暮れ残る

  セーターの解(ほど)かれ俺は毬(まり)となる

  昼寝の背諍ひあとの孤影(こえい)かな

 

「畝雨(ほう)」〔Ⅵ〕(俳句)

季節は入り混じっております。

   一番星石焼芋のポーがゆく

   さざめき絶え児らの数だけ雪兎

   軽やかに入日に吹かれ風花す

   道連れは雪女かも厨(くりや)の灯

   ラムネ玉小さな嘘が鳴つてゐる

   風船を吸うて碧(あを)増すけふの空

   ふらここの小さき尻を押せば嘻嘻(きき)

   水鉄砲きれいな虹ができるやう

   手花火や皆それぞれの闇を背に

   さらし映ゆ祭り太鼓のをみな達

「畝雨(ほう)」〔Ⅴ〕(俳句)

季節は入り混じっております。

   薬の香淡くとどめて紙風船

   おほどかに五色の風や吹流し

   あめんぼう一枚上の水を行く

   子規庵を上野の方(かた)へ黒揚羽

   残照へ雀ら散らすばつたんこ

   暮れなづむ風に遊ぶや雪蛍

   凍蝶や死装束の陽をまとふ

   音を吸ひ思ひ出を吸ひ雪は積む

   朝焼けの光にじませ軒氷柱

   雪解水小さな春を奏でつつ

「畝雨(ほう)」〔Ⅳ〕(俳句)

季節は入り混じっております。

   残照の湖畔に二つ浮人形

        鳥雲にセピア色した若き父

   鳩吹くや子はかなしいと国言葉

   糸遊や古き家族の夢ばかり

   山笑ふ新しき辞書匂ふ如

   父の膝に抱かれラムネを猪口で飲む

   せせらぎや河童の皿も夕焼けて

   稲架(はざ)暮れぬ悪い人ぢやあなかつたね

   我もまた縁日の灯の金魚かな

   吹き抜けし夢のかけらや竹夫人